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「特定の専門分野で活躍したい」「ニッチすぎるかもしれないけれど、どうしてもやりたい仕事がある」……こうした夢を叶えたい場合、どのように行動すればよいのでしょうか。
その道の専門家として活動するためには、まずは希望するジャンルでの仕事を多くこなし、業界内でのポジションを確立する必要があります。しかし、これらのニッチなジャンルで集客を目指す場合は、一般民事や刑事事件とは違った難しさがあるのが実情です。
今回は、ニッチなジャンルで勝負する場合の基本的な考え方について紹介します。
Webサイトを使ったWeb集客ではまず、Webサイト(事務所、特化型法律相談サイト)に顧客を誘導する必要があります。
その際の導線として考えられるのが、検索による流入(SEO対策、リスティング広告)とSNSです。それぞれ方法によって特性が違うため、ターゲットや取り扱いジャンルを考えながら、バランスよく運用することが大切です。
たとえばBtoCなら検索による流入を目指すのが王道といえます。競合サイトが強い場合は、リスティング広告を使ってでも上位表示させ、閲覧者を自サイトに誘導することが重要です。
一方BtoBは検索キーワードが見えにくいこともあるため、リスティング広告やSEO対策だけでは集客効果が上がらない可能性もあります。その場合はSNSを使った情報発信・集客も積極的に行う必要があるかもしれません。
さて、数ある取り扱い分野の中でも、もっとも難しいのがニッチな専門分野における集客です。ニッチな分野は集客に成功できれば、そのジャンル内でオンリーワンの存在になれる可能性もある一方、勝ち筋が見えにくいという側面もあります。
ここではニッチな専門分野で勝負する場合に、まず検討しなければならないポイントを3つ紹介します。
まずは自分の扱いたいジャンルがBtoC(一般消費者向け)かBtoB(対企業向け)を考え、それに合った戦略を立てることが大切です。
BtoCとBtoBでは顧客の行動、具体的には「弁護士の探し方」が異なります。したがって当然立てるべき戦略も変わる、ということになるのです。
ニッチな専門分野は、メジャーな取り扱い分野に比べると一般的に需要も少ないものです。勝算があるかどうかを見極めるためには、市場規模を考えるのは重要といえます。
たとえば東京23区内であれば、人口が多い分ニッチな分野でもそれなりにニーズが存在する可能性があります。さらに交通アクセスもよいため、埼玉や神奈川、千葉といった近隣の県からも顧客が来るかもしれません。
逆に地方都市では、そもそもニーズがない可能性もあるかもしれません。事務所の立地や交通アクセスも考えつつ、このジャンルで本当に集客できそうか判断しましょう。
ターゲットがどこにいるのか、どうやったら顧客接点(タッチポイント)を作れるのかを考えることも重要です。
たとえば同じSNSでも、TwitterとFacebook、Instagramでは利用している顧客層が異なります。
さらに年代や業種によっては、そもそもSNSを使わない、リアルな場でのコミュニケーションを重視するという人もいるかもしれません。
間違った場所で集客をしてしまうと、いくら頑張っても効果があがらなくなってしまいましょう。まずはターゲットが何を考えているのか、どんな行動をしているのかを知り、自分の想定ターゲットに合ったタッチポイントを見つけましょう。
ニッチなジャンルの集客では、まず取り組むジャンルの性質や顧客の性質、さらに市場規模を見極めることが重要です。市場規模によっては「ニーズがそもそも少なすぎて採算が合わない」という可能性もあります。採算割れを防ぐためにも、特に市場の状況や周辺の環境については慎重に判断しましょう。
BtoCとBtoCは顧客行動が違うため、同じWebを使った集客でもやり方が大きく異なります。それはニッチなジャンルを扱う場合も同様です。
戦略の方向性を間違えないためにも、まずはターゲットによる顧客行動の違いを押さえましょう。
一般消費者にとって弁護士は身近な存在とはいえません。そのため、顧客行動としては基本的に「検索で探す」ことになりやすいです。
相続、離婚、交通事故といったメジャーな分野については「SEO対策もやりつつリスティング広告も出す」ということでWeb集客については、ほぼ方法論が確立しています。
一方、ニッチなジャンルの場合は、同じBtoCでもメジャーなジャンルに比べると集客が難しいかもしれません。
ただ、個人客はやはり弁護士を検索で探すことが多いため、ジャンルによってはリスティング広告が有効な場合があります。ニッチなジャンルでも、特に「誰かに相談しにくい」話題は検索で解決を図ろうとする傾向があるからです。さらに競合が少ないニッチすぎるキーワードは広告費が安く、少ない予算で大量の広告を流せます。その意味でも一度はリスティング広告にトライする可能性はあるといえるでしょう。
ただし、当然のことながらリスティング広告でできるかどうかは検索ボリュームや市場規模にも左右されます。これは、リスティング広告が「何件閲覧者がいたら、そのうちの何件かがお問合せにつながる」という性質を持つものだからです。検索ボリュームが大きいほど、ヒットに至る確率も高くなります。
それゆえ、人口が多いところではニッチな分野でも検索ボリュームがそれなりに見込めるかもしれませんが、逆に地方都市だと需要=検索ボリュームが少なすぎて、いくら広告費が安いといっても採算が合わなくなる可能性があります。
その他、SNS(Twitterやnoteなど)で目立っている人に頼むというパターンも、最近増えているパターンです。SNSを使った発信が好きな方は、そちらで集客を目指すのも1つの方法かもしれません。
信頼感が求められるBtoBの取引では、「紹介」による受任がメインになります。この「紹介」には知人・友人からのものはもちろん、さらにはSNSのゆるいつながりも含まれます。
検索で弁護士名にたどり着くこともないわけではありませんが、ジャンルによっては検索キーワードが読みにくいのでSEOやリスティング広告による集客がやりにくいのが実情です。
たとえば相続(BtoC)であれば「相続 弁護士」「遺留分 弁護士」など検索キーワードがある程度予想がつきます。しかし、これが、メディア関係、AI、ベンチャー企業法務といったBtoB向けニッチジャンルになってくると、利用者がどのキーワードで検索をするのか、まったくわかりません。こちらが事前にまったく想定していなかったキーワードで検索をかけてくる可能性もあります。
例としてメディア関係を考えてみましょう。この場合、「メディア 弁護士」で検索をかけてくる可能性は想定しにくいかもしれません。「具体的なトラブル名 弁護士」で検索してくるか、それとも他のキーワードで検索をかけてくるのか。顧客の行動パターンがまったく読めないのです。
したがって一応Webサイトやコンテンツを用意しておく必要はあるものの、BtoCに比べると勝ちパターンが掴みきれないというのが現状です。
SNS運用を含め、SEO対策もコンテンツ制作もやれることは全部やり、トライアンドエラーを繰り返すしかないと思います。その代わり、ニッチなジャンルの専門家=オンリーワンの存在、ということでうまく戦術がはまった場合は全国から顧客がくる可能性もあります。
なお、ここでいう「紹介」には「同業者からの紹介」も含まれます。事業を軌道にのせるためにも、Facebookやセミナーなどを利用して同業者間のタテヨコのつながりをきちんと作っておくことは大切です。
BtoCに比べて、方法論が確立していないBtoBの集客は手探りになりがちです。特にニッチジャンルの場合はうまくいく保証もないため、ギャンブル要素もあるといえます。
たまたま早い段階でヒットを飛ばしてしまう方もいますが、それはまれなパターンです。
すぐに結果が出ないケースも多いため、やれそうなことはすべてやって地道に集客ルートを作っていくしかありません。
BtoB、特にニッチなジャンルにおいては、集客方法に正解がありません。その道でオンリーワンの存在を目指すのであれば、とりあえず「やれることは全部やる」の精神で挑むことが重要です。
まずは集客窓口となるWebサイトやコンテンツを準備しましょう。その道の専門家としての存在感を高めるためにも、情報発信は重要です。
さらにコンテンツを充実させているうちに思わぬキーワードで引っかかり、自然検索で検索結果上位に上がってくる可能性もないわけではありません。
またSNSを使った発信が得意な方は、ブログやサイトコンテンツと重複する内容でも構いませんのでSNSで継続的に情報を発信するのもおすすめです。
「B2Bはリスティング広告で効果が上がりにくい」と書きましたが、それでも一度はリスティング広告にチャレンジしてみることをおすすめします。
たとえ今すぐの集客にはつながらなかったとしても、どのキーワードでサイトに流入しているかを追跡できるからです。今後の戦略を立てるのに必要なデータを取るためにも、試験的に運用してみるのは悪い選択ではないのではないでしょうか。
BtoBの場合、仕事の多くは誰かからの「紹介」でやってきます。「紹介を受けやすい環境」を構築するためにも、人脈やSNSを駆使してブランディングに力を入れることは大切です。
SNSなどで情報を発信することは、業界内でのプレゼンスを高めることに役立ちます。
もっともSNSを使った情報発信には本人の適性もあります。苦手な方はSNSにこだわる必要はありません。
自分のサイトやブログで、こつこつコンテンツ作りを頑張るのも立派な情報発信です(noteのようなブログ感覚で使えるSNSもあります。実際そこから受任につなげている先生もいます)。また、文章を書く時間がない場合は外注ライターを使う方法もあります。
さらに同業者の集まりやウェビナーに積極的に参加し、その界隈での認知度アップや人脈作りを行うことも重要です。
いくら情報発信を頑張ったとしても、発信する場所を間違えてしまうと潜在的な顧客には届きません。ターゲットはどこにいるのか、何を考えて生きているのかを考え、顧客との接点を探しましょう。
たとえばクリエイター・フリーランスはTwitterの利用者が多いため、そこで継続的に発信を行っていると著作権やフリーランス向け法務の仕事を獲得する上では有利に働くかもしれません。一方中小企業やスタートアップを対象としたサービスを考えているのであれば、決裁権を持つ人が多く生息するFacebookが向いている可能性もあります。
さらに業界関係者が集うリアルの飲み会やウェビナーなどのオンラインイベントがあれば、積極的に参加して人脈を広げる、というのもタッチポイント作りには有効です。
BtoBの集客の場合、「こうすればイケる」という唯一絶対の正解はありません。むしろ、どのルートから顧客が来るのかわからないという側面が強いため、1つの方法にこだわりすぎるのは危険です。
逆に、どのルートからもヒットが出る可能性はあります。コンテンツを用意する、顧客に合わせたタッチポイントを作る、といった基本を押さえたら、あとは自分なりに創意工夫しながら進んでいくしかありません。そこが難しく、また面白いところであるともいえると思います。
ニッチなジャンルの集客には、BtoC・BtoB問わず、「やってみるまで結果が出るかどうかわからない」という特徴があります。
長期戦であり、また「こうすればイケる」という正解もないので、すぐに結果を求めてしまうとつらくなってしまうかもしれません。
ここでは、「まとめ」としてニッチなジャンルでの集客を成功させるために必要な条件について紹介します。
ニッチなジャンルの集客で成功している先生方を見ていると、ある共通点があることに気づきます。
それは、熱意、体力、時間という3つの条件です。成功されている先生ほど、この3条件がそろっている方が多いような印象があります。
まず「どうしてもこのジャンルをやりたい」という熱意は、絶対に必要です。結果が出るまで時間も手間もかかること、そもそもうまくいく保証もないことから、生半可な覚悟では途中で挫折してしまうおそれがあります。
実際成功されている先生方を見ていても、「自分は絶対これをやる!」という熱意にあふれている方が多い印象があります。
BtoB、それもニッチなジャンルでの集客を目指す場合、結果が見えるまで時間がかかる傾向があります。また「やれることはすべてやる」という方針の下では広告も出すことも検討するべきです。その場合、広告費も必要になるかもしれません。事業を軌道にのせるまでには資金的な体力が必要になります。
特定のニッチなジャンルで成功するためには、その界隈内で「この人あり」といわれるポジションを築くことが必要です。
そして、そこに至るまでには、コンテンツを作る、関連するセミナーに参加するなど、直接的な売上につながらない作業が大量に発生します。3年間足元固めにほぼすべての時間を費やして(その間事務所の売上につながりそうな仕事はパートナーやアソシエイトに任せて)、専門分野にシフトされた先生もいるくらいです。
まいた種が収穫時期に達するまでには長い時間がかかります。時間と手間をかけ、じっくりと腰を据えて事業に取り組む姿勢が求められるかもしれません。
ニッチなジャンルにおける集客は長期戦です。ムリなく続けられるように、自分に合った戦略を考えることも大切になります。
たとえばSNS運用が苦にならないタイプならマメにFacebookやTwitterを更新し、情報発信を続けるのが合っているかもしれません。ただSNSによっても相性がありますので、ターゲットがよく使っていて、かつ自分でも運用しやすいものを探しましょう。
一方SNSを使った発信が苦手なら、黙々と自分のWebサイト上でコンテンツを作り、キーワードの検索ボリュームによってはリスティング広告も使うという方法が向いているかもしれません。SNSの一種にはなりますが、文章を書くのが好きな方であればブログ感覚で使えるnoteを活用する方法もあります。
一方、飲み会や異業種交流会などリアルのコミュニティや集まりが好きなタイプであれば、そうした場を活用してSNS上でゆるくつながれる人を増やしていくのもよいでしょう(今の時期であればオンライン飲み会などでしょうか)。
ニッチなジャンルにおける集客は、BtoCのメジャーなジャンル(特に一般民事・家事事件)に比べると結果が見えにくいところがあります。その代わり、競合となる存在が少なく、うまくいけばその界隈内でオンリーワンの存在を目指せるという魅力があるのも確かです。
また「決まった勝ちパターンがない」ということは、基本的な戦略・方向性さえ合っていれば「どんな方法でも結果が出る可能性がある」ということでもあります。
結果が出るまで時間がかかるからこそ、自分に合ったやり方で焦らず取り組むことが重要といえるかもしれません。
共同代表の川原と共に合同会社レップリーガルを立ち上げる。サイト制作のマーケッターとしてサイト開設のディレクション、コンテンツ作成に携わる。ターゲットが思わず読みたくなる、集客に繋がるコンテンツ作りのプロとして、法律事務所のサイトを250以上構築し、常時20個以上運用・サポートを行っております。