コロナ禍の影響もあり、Web集客に目を向ける先生方が増えています。そのなかでも多くの先生が「受任数を増やしたい」とおっしゃるのが、交通事故事件です。実際弊社でもよく相談を受けるのですが……。
ここでは交通事故事件およびWeb集客をめぐる業界の現状について紹介します。
交通事故事件は効率よく事件処理ができることから、弁護士には人気のジャンルです。市場ニーズもあるため、軌道に乗れば安定した収益が見込めます。
交通事故事件の特徴は、事件処理の流れが定型的で、かつ処理も比較的楽だということです。
効率よく売上を上げられることから、特に過払い訴訟バブルが終わった後くらいから人気が高まってきています。
売上に直結しやすいのも特徴です。交通事故事件で相談に来る人の多くは被害者側です。
加害者が任意保険に加入していた場合、弁護士としては保険会社と交渉することになります。
そして損害賠償金の算定基準については裁判基準が確立しており、保険会社と交渉すれば確実に裁判基準が適用されて、損害賠償金が増額されます。つまり交通事故の場合、受任さえできれば、まとまった金額の報酬金を得られやすいのです。さらにすでに事故にあって困った人が相談に来るため、相談後の受任率も高いという特徴もあります。相談が来た時点で安定した売上が期待できる、という点で、事務所にとってはありがたい事件といえるでしょう。
被害者が重傷を負っている場合や過失割合で争いがある場合などは訴訟になる可能性もあるので、処理が大変になるケースもあります。
しかし後遺障害等級が低いもの、過失割合がはっきりしているものについては、保険会社との交渉だけで解決できるケースがほとんどです。
しかもプロ同士の交渉になることから、一般市民を相手として交渉するよりも交渉もやりやすく、しかも早く終わる傾向があります。
電話一本で処理できるなど、効率よく事件をさばけるケースが多いのです。
一定の市場ニーズが見込めるのも参入へのインセンティブになっています。
弁護士ドットコムのデータによれば、全問い合わせ中10パーセントが交通事故といわれています。離婚ほどではないものの、比較的市場ニーズはあるジャンルといえそうです。
効率よく売上を上げられる、一定の市場ニーズもある、と良い事ずくめのように見える交通事故事件ですが、話はそう簡単ではありません。みんな考えることは同じで、競合が多いというデメリットがあります。
交通事故事件については大手弁護士法人も潤沢な広告費を武器に積極的にWebマーケティングを展開しています。すでに市場ができあがっている状態であるため、特に大都市圏における新規参入は至難の業です。
「東京 交通事故 弁護士」「大阪 交通事故 弁護士」といったメインキーワードはレッドオーシャン化しており、狙いに行くのが一番難しいキーワードになっています。
特に大都市圏で集客をする場合は強力なライバルが多く、がんばって専門サイトを作り、さらにSEO対策をしても効果が上がりにくい傾向がみられます。
クリック広告の費用も高額です。大都市圏では1クリック2000〜3000円になることもあります。事務所の所在地および資金力によっては、広告費が高すぎて参入できないという可能性もありえるところです。
弁護士ポータルサイトも激戦区です。ライバルが多すぎてポータルサイト経由で受任するのは難しいかもしれません。
また掲載料が定額制でないポータルサイトは良い掲載位置を確保するために多額の掲載料を支払わなければならなくなるケースもあり、広告費もかさみます。
交通事故事件のWeb集客はすでにレッドオーシャン化しています。弁護士ポータルサイトはもちろん、専門サイト(交通事故サイト)を使った集客も激戦です。
普通にWebサイトを作れば集客できる、という時代ではないため、新規参入をするならそれなりの戦略と覚悟が求められることになるでしょう。それでは、どうすれば交通事故サイトで勝てるのか。
次回は、交通事故事件のWeb集客、特に交通事故サイトを使った集客で勝つための戦略について解説します。
交通事故のWeb集客については、専門サイト、弁護士ポータルともにレッドオーシャン化しています。今から新規参入するのは厳しいかもしれません。
ただし専門サイト(交通事故サイト)を使った集客については、やり方次第、条件次第でまだまだチャンスがあります。
ここでは新規参入で勝つために必要なファクター、さらに事務所所在地別の取るべき戦略について解説します。
交通事故サイトの開設・運用で集客に成功するためには、場所、実績、資金、人的・時間的リソースという4つのファクターについてあらかじめ検討しておく必要があります。
事務所所在地は最重要ファクターともいえる要素です。人口100万人規模の都市、人口50〜60万人規模の都市、それ以下の規模の都市では取るべき戦略がまったく異なるからです。なお詳細については後述します。
特に大都市圏で戦うためには事務所の実績は重要です。すでに交通事故で実績のある法律事務所であれば、新規参入でも有利になります。
人気の高い交通事故事件は、広告費用も高額になりがちです。
特に競合が多い大都市圏ではワンクリックあたりの価格が高額になります。
また問い合わせがきたからといって即受任につながるとは限りません。「すでに事故にあった被害者が来る」という事件の特性上、相続や離婚よりは相談が受任につながる確率は高いのですが、確率論的には「受任につながらない相談ばかり来てしまった」という可能性もないわけではありません。
安定した成果が出るまでまとまった金額の広告費を出し続けられるか、あるいは、それまで成果を待てるだけの経営体力があるか。
広告を使って集客をする場合は、これらの点が重要な要素になります。
特にSEO対策に力を入れる場合に必要です。SEO対策では大量のコンテンツ作成が求められるからです。
特に事務所内のスタッフだけでコンテンツを作る場合は、定期的にコンテンツを上げられるだけの人的・時間的リソースが不可欠となります。
それが難しい場合は外注ライターを雇うことになりますが、その場合は人的・時間的リソースの代わりに、まとまった金額の外注費を確保しておく必要があるかもしれません。
上記ファクターのうち、とりわけ重要なのが「事務所の所在地」です。交通事故サイトの作成・運用地域にあたっては、地域に合わせた戦略が求められるからです。
本コラムでは、100万人規模の都市、東京23区のことを大都市圏と定義しています。大都市圏は強力なライバルがひしめく激戦区で、新規参入が難しいエリアにあたります。クリック広告単価も高く、SEO対策も難しい地域です。
ただし、すでに実績がある法律事務所の場合は、きちんとコンテンツを作り込めば勝てる可能性があります。
その場合はSEO対策をしつつ、クリック広告を適宜活用するのもよいかもしれません。クリック広告も上から3番目くらいに表示されるように調整すれば、若干広告費を押さえられるからです。
またギャンブル要素が強くなりますが、広告費をかけずにコンテンツ作りに集中する、というのも戦略としてはアリです。検索エンジンの評価が突然変動し、検索順位が突如上昇するケースもあるからです(目先の売上を捨てる覚悟、そして結果が出るまで1~2年待てるだけの根気強さは問われますが)。
最初からSEO・広告いずれも難易度が高いのであれば、作るべきものを作って気長に検索順位の上昇を待つのも悪い選択肢ではないのです。
40〜60万人規模の都市のことを、ここでは中都市圏と定義しています。中都市圏は実は、交通事故サイトの運用ではもっとも高い成功率が狙える地域です。強力なライバルが減るので、中小規模法律事務所でも勝ち目があります。SEO対策も効果が出やすいため、SEO対策をしっかりしておけば上位表示は比較的容易です。さらにクリック広告を併用すれば万全といえます。大都市圏にくらべると広告費も抑えられるため、広告費にあまり予算をかけられない法律事務所でも戦いやすいです。
それ以下の規模の都市については、もしかしたら先生方の想像以上に交通事故事件のニーズが少ないかもしれません。交通事故の件数は人口に比例するからです。
そもそもコストをかけて専門サイトを作るべきかどうか再考する必要があるかもしれません。
交通事故事件はライバルが多い人気ジャンルだけに、新規参入を狙うのであれば事前の戦況分析は必須です。事務所の立地や手持ちのリソースを確認し、戦略を考えましょう。
次回はまとめとして、これから新規参入する場合の心得、さらに実際の成功事例を取り上げします。
前回は交通事故サイトを使った集客を成功させるために検討したい要素を紹介してきました。
3回目の今回は最後のまとめとして交通事故サイトを使って集客する場合の基本的な考え方、さらに実際の成功事例を紹介します。
すでにライバルが多いジャンルであるため、特に大都市圏ではSEO対策をしたからといって必ずしもサイトを上位表示できるとは限りません。
問い合わせ件数を増やすためには、SEO対策とクリック広告をバランスよく併用する必要があります。
SEO対策は長期戦です。成果が出てくるまでは半年〜1年かかるかもしれません。
大都市圏は厳しいですが、すでに実績があり、きちんとコンテンツを定期的に上げられる法律事務所であればチャンスがあります。気長に発信を続けましょう。
また人口40〜60万規模の都市の場合は比較的成果が上がりやすい環境にあるため、新規参入を狙うなら今がおすすめです。
ライバルが多い交通事故事件関連のキーワードは、クリック広告の運用費も高くなります。広告による集客を考える場合は、まずまとまった金額の広告費を確保することが大切です。特にサイト運用を開始した最初のうちは、SEO対策の効果がほとんど期待できません。広告による集客がメインになるため、広告費をどんどん使っていく必要があります。
SEO対策が成功し、安定してサイトを上位表示されるようになれば広告費を削減できるかもしれません。最初の1~2年分だけでも潤沢な予算を確保しましょう。
弊社がサイト制作および運用をお手伝いし、実際に成果を上げられた法律事務所様の事例を3つ紹介します。
新宿区という弁護士激戦区において、広告費ゼロ、SEO対策一本でWeb集客に成功した事例です。最初のうちはまったく検索順位は上がらず、集客にもつながりませんでした。しかし年間200~300記事ペースでコンテンツをコツコツ作成したところ、記事が300記事を超えたあたりで突如検索順位が上昇。1年後には自然検索だけで集客ができるようになりました。
これから大都市圏で勝負されたい若手の先生には、参考になるケースではないでしょうか。
こちらは100万人都市の川崎市で、しかも短期間で結果を出せたケースになります。運用開始後わずか2か月で成果を上げられています。
B法律事務所様の場合、Web集客の面では新参者であったものの、事務所の方はすでに開所10年を超え、交通事故事件の実績が十分ありました。さらに豊富な解決事例を用意できる、所属弁護士も多いといったプラスの要素も多かったことが、功を奏した形です。
また十分な広告費を出せる経営体力もあったため、広告を併用することで短期間で結果につながりました。今後記事数を増やしていけば検索順位も上がり、自然検索による集客も期待できるかもしれません。
人口40万人規模の中都市圏にて成果を上げられたケースです。C事務所様の場合、周囲に競合となる法律事務所が少なかったこともあり、検索順位が早い段階で上がりはじめました。結果的に40記事程度コンテンツがたまったところで自然検索からのサイト流入が始まっています。自然検索からの流入が増えたことで、結果的に広告費も抑えられました。
SEO対策、クリック広告のハイブリッド運用が早い段階で軌道に乗ったケースといえるでしょう。
交通事故事件のWeb集客は、弁護士間で熾烈な競争が繰り広げられているジャンルです。新規参入は容易ではありませんが、しかし条件次第でまだチャンスはあります。事務所の現状を分析し、それに合った戦略を立てていただければと思います。
共同代表の川原と共に合同会社レップリーガルを立ち上げる。サイト制作のマーケッターとしてサイト開設のディレクション、コンテンツ作成に携わる。ターゲットが思わず読みたくなる、集客に繋がるコンテンツ作りのプロとして、法律事務所のサイトを250以上構築し、常時20個以上運用・サポートを行っております。