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法律事務所の一構成員である事務局さんですが、最近では法律事務所の在り方自体が少しずつ変わってきています。法律事務所の変化と同様にそこに在籍する事務局さんに求められる役割も変わってきました。
そもそも事務局は必要なのか?
私達がいただくご質問の中で「そもそも事務局が必要なのか?」とよく聞かれることがあります。若手の弁護士さんは、「事務局さんに払う給料がもったいないからその分ウェブに払おう」と言う方も実際にいらっしゃるのも事実です。
確かに、ウェブに投資するのもアリだと思います。しかし、私たちの結論としては、やっぱり事務局さんにしかできない仕事もあるので事務局さんはいた方がいいと考えています。
事務局さんがいた方がいい一番の理由は、書面のチェックをしてもらえる点です。
弁護士さんは当然法律のプロフェッショナルなので法律に関して法律論の展開はすごく上手です。しかし、一般の方からすれば「論理の飛躍」とまで言い過ぎかもしれませんが、弁護士さんの頭が良過ぎて話がポンポン進んでしまい、その結果お客さんは置いてけぼりになってしまうことがあります。
最近よく言われている、『敷居の低い法律事務所』を目指す上では、一般の方にも分かったほうが当然良いように思われますので、一般的に理解ができるような内容にしないといけないのは間違いありません。
ですので、弁護士さんほど法律に詳しいわけではない事務局さんでも分かるような理解できる文章構成にし、それをチェックするために事務局さんが必要となってくるでしょう。
そもそも事務局さんが生まれたのは、法律事務所があった40〜50年前です。
その頃の事務局さんに求められる能力といえば、お茶汲み・掃除・コピー・近くの裁判所や法律事務所へのおつかいなどです。それ以上のことは何も求められてこなかったわけです。
数十年前まではそれでもOKでした。
ある時、契機がありました。
その契機が2000年の広告規制の一斉解除です。
そこから弁護士業界の一部(アディーレさんやベリーベストさんなど)が一気に活躍を見せるのと同時に広告の戦略ができてきました。それこそ今まで椅子に座っていてもお客さん(案件)が勝手にきていた受動的な時代から、ウェブをはじめとした広告を使って行動する自分から主体的に行動しないとお客さんが取れない時代に大きく変化しました。そしてそれは今も続いています。
この流れに引っ張られるように事務局さんの役割が変わらざるを得ないような状況になりました。
どのように変わったかというと、先ほどのお茶汲みや掃除から、サービス業の一員としての役割に変わってきたように思います。
これからの事務局に必要なスキルは下記の3点です。
次に具体的にみていきましょう。
今の時代、集客にはウェブが不可欠となっています。ホームページ集客においてはサイトの質が一番ですが、次の段階としては、問い合わせがあった時にいかに事務所に来所してもらえるかが重要となってきます。
と言うのも、広告を出せばスマホ検索をした時に上部に表示されますが、あなたの広告が表示されているということは、他の方が広告を出稿すれば他の人も上位表示されているということです。結局広告を出した人の中で競争になってしまうわけです。
そのように、検索結果でずらりと並んで比較された状態でどのようにして自身の法律事務所を選んでもらい来所してもらうかというのを考えなければなりません。
例えば、無料相談を希望して電話問い合わせをいただいた時に、無料相談が不可だから…とそのまま断ってしまうともうそのお客さんは二度と問い合わせてくれないでしょう。
普段は無料相談をしていないとしても、「無料相談は原則していませんが、弁護士を入れたほうが早く解決することが多いので聞ける範囲でどういう話か聞かせてもらっていいですか?」と言うように機転を効かせて対応できると来所につながるわけです。
たった一言それを言うだけでも来所率がグンと上がることでしょう。ですので、来所率が上がるかどうかは、問い合わせの電話をとる事務局さんの電話の営業トーク力にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
来所率が上がってくると当然ですが受任率も上がってきます。
顧客管理をはじめとして、依頼者や依頼者になり損ねた方の囲い込みや後追いの管理も1つです。
顧客管理に関しては、顧客管理をきちんとしていない法律事務所が最近多いと感じております。依頼者の管理は当然ですが、依頼者にならなかった方への後追いシステムの構築はとても大事です。特に相続などは顕著に表れます。
今すぐは問題になっていないけれど、いずれあることが明確になっている事案もたくさんあります。一度問い合わせがあれば再度問い合わせがあるかもしれないということも想定して顧客情報の管理をしていきましょう。
再度問い合わせがあった時に、「誰でしたか?」「前回いつ来られましたか?」というような対応だとサービス業としては失格ですので、依頼者にならなかった方も管理しておくシステムを作ることが大事ですね。
本来相談者と直接お話しするのは弁護士さんなので弁護士さんがそれをできたら一番いいのですが、数が多くなってくると物理的に難しくなるので事務局さんの管理が必要となってきます。
例えばこのような感じです。
「先週ご相談いただいた〇〇さんいましたよね。あの方『考えさせてください』ということでしたが、どうしますか?お電話されますか?」と事務局さんが一言言うだけでもかなり変わってくると思います。
最近では特に裁判書のデータ化も叫ばれていますが、データ化して管理する作業も求められています。膨大な事件管理がありますので、それを紙ベースで保存する時代は完全に終わりました。
実際、新聞にも載っていましたけれども裁判資料や訴状も含めて全部データ化して裁判所や相手方に送るのがマストな時代になっています。
そのデータベースを全て弁護士さんが管理しなければいけないのか?と言われると、それは弁護士さんも得意な方ばかりではないので事務局さんの力が必要になってきます。
どのようなことを事務局さんがするのかというと、最低限依頼者ごとにフォルダ分けし、準備書面を段階ごとに来たものに分けて、視覚的に見える化するだけでも事務処理ははかどります。
弁護士の仕事の効率が高まり、依頼者さんの満足にもつながります。
40年前はお茶汲みだけを求められていた事務局さんから最近は秘書に近い存在にアップグレードしています。
そのような事務局さんがいる法律事務所はやっぱり強いので一つご参考にしていただければと思います。
1、今までは紹介など知り合いの問い合わせでほぼ受任につながっていたものが、ウェブからの問い合わせ中心になり、最初に電話を受ける時のフォローが必要となった。
2、今までは「後追いはしないで良い」という認識だったのが、最近では広告費もかけているし余裕のある法律事務所も少なくなってきたので「後追い」をマーケティング的にも営業的にもしないといけないという状況になったのでその必要がでてきた。
3、ITツールが出だして、効率化を図るために、ITツールを使いこなせる人材の必要性がでてきた。
以上、「事務員に求める役割」でした。次回もお楽しみに。
法科大学院を卒業後、父親が経営する川原総合法律事務所の営業責任者として勤務。入社当時は事務所は紹介営業に頼っていたため年々売上が減少し、このままの状態では事務所経営自体が存続できない状態となる。そこで、一念発起しインターネット集客を事務所に本格的に導入。
当初は、手当たり次第に集客を試みるがほとんど成果に繋がらず苦悩。しかし、半年間ほど苦悩し努力を続けた結果、徐々に問い合わせが増えるようになる。その後の3年間で当初年間200件程度だった事務所の相談件数が6倍の1200件に急増。
そして、自身の法律事務所集客ノウハウを自分の事務所のためにだけ使うのではなく、「優秀な弁護士の先生方を少しでも世の中の人々の身近な存在として知ってほしい」と考え、弁護士専門集客カンパニー合同会社レップリーガルを設立。一般的なホームページ制作会社のマーケッターとは違い、法律事務所の目線に立ち、ただ単にホームページを作るのではなく、ポータルサイトとの連動、弁護士の先生方の特長や業務内容などを踏まえた上で、法律事務所の収益アップを実現するための全面的なアドバイスを実践しております。