法律事務所の広告費はどれくらいが適正か? |弁護士・法律事務所専門 ホームページ制作会社

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法律事務所の広告費はどれくらいが適正か?

法律事務所に広告費は必要か〜他業種との比較を通して考える

弁護士業界では長い間広告が全面的に禁止されていたこともあり、これまでの顧客獲得手段といえば「紹介」が中心でした。

広告が解禁されて10年以上経過した今では多少状況にも変化が見られつつありますが、大々的に広告を行っていた一部法律事務所が問題を起こしたこともあり、広告に対して強い抵抗感を持っている先生方もおられるようです。

ただ、これからの時代、弁護士が集客を行うためにはやはり広告は必要なのではないでしょうか。今回は法律事務所と広告の関係について、他業種と比較しつつ見ていきたいと思います。

 

弁護士業界の「常識」は他業界では非常識?

先程も申し上げたとおり、職業の特性および歴史的背景から、弁護士業にとってまだまだ広告は一般的なものとはいえません。

しかし弁護士は高度な知的専門職であると同時に、生身の人間に対してリーガルサービスを提供するサービス業でもあります。そして「サービス業」という視点から弁護士という仕事を改めて捉え直すと、物販を始めとする他のサービス業との共通点や学べる部分も出てくるかもしれません。

その1つが「広告の使い方」です。一般的に、スーパーでも美容院であっても何でもよいのですが、サービス業において集客のために「広告費をいっさいかけない」「広告をやらない」業種は存在しません。これらのサービス業において、新規顧客開拓と広告はセットなのです。

 

これからは弁護士にも広告が必要な時代に

とはいえ、弁護士は職業の性質上、信頼性が重視される仕事です。依頼者の口コミや紹介による受任というのは今後も大きな受任ルートの1つであり続けると思います。

とはいえ、「紹介だけでは売上が安定しない」「もう少し新規の受任を増やしたい」となった場合には、新規顧客開拓のために広告を活用することを検討してもよいかもしれません。

司法制度改革以降、弁護士数は年々増加しつつあり、特に大都市圏を中心に弁護士間の競争が激しくなってきています。

競争が激しい地域にはいわゆる新興系をはじめ広告に力を入れている事務所も多く存在しますので、そもそも広告活動に注力しないと集客そのものが難しくなってしまう可能性もあります。

すでに弁護士にも広告が必要な時代になっている、といっても言い過ぎではないのではないでしょうか。

 

とはいえ「予算をかければ集客できる」わけではない

とはいえ、「タップリ広告費をかければ集客できる」といった単純な話でもないので注意が必要です。たしかに使える広告予算が増えれば打てる施策も増えますが、間違った方向に予算を使ってしまうと、どんなに費用をかけても効果が見えにくくなります。

そこで、広告予算の立て方、および正しい使い道について考察してみたいと思います。

 

法律事務所における広告予算の考え方

今の時代、弁護士業においても、広告は新規顧客開拓において欠かせないものになりつつあります。ところで、広告を活用する場合、いくらくらい予算を出せば十分な効果が期待できるのでしょうか。

今回は広告費の適正な予算額について考えてみたいと思います。

 

一般的なサービス業における広告費の考え方

まず参考までに一般的なサービス業における広告予算について見てみることにしましょう。これについては、マーケッターの方が執筆された『業種別・業界別広告宣伝費(販促費)の売上比率・割合の平均は?最適な広告予算を立てよう』(https://hansokunodaigaku.com/koukoku_post/1414/)が参考になります。

このデータによれば、売上に対する広告宣伝費の売上比率・割合は、外食産業で5%、化粧品・健康食品会社で10%、通販・サービス業で15~20%となっています。

一般的なサービス業の基準で考えると、法律事務所の場合も売上の10%弱は広告費にかけても適正な予算の範囲内、ということになるのではないでしょうか。

 

法律事務所における広告費予算の考え方

法律事務所は仕入れがない分、他のサービス業に比べても売上に対する利益率が高い傾向があります。人件費や家賃、交際費といった諸経費を除いても、利益率60〜70%を目指すことは十分に可能です。

たとえば、弁護士1人、事務員1人の小規模な事務所の例で考えてみましょう。毎月の売上が150万円ほどあったとして、50万円の経費がかかったとしても100万円の利益が残ります。

そう考えると、多少少なめに見積もったとしても7〜10%程度は広告費にかけても大丈夫ということになりそうです。

100万円の7〜10%といえば、およそ金額にして7〜10万円になります。これだけ毎月予算をかけられれば、「広告に力を入れたら集客にプラスの影響が出るかも?」と思えませんか?

もっとも、広告の効果イコールかけた予算の金額ではありません。きちんと広告予算をとったとしても、使い道を間違えてしまうと、思ったような効果が期待できない可能性もあります。そこで、広告費の適切な配分方法について考えてみたいと思います。

 

広告費の適切な配分方法を考える〜どこにどう使うべきか

これまで広告費の適正な予算は、売上の10%前後が目安であるという話をしてきました。

次に問題になるのは、こうして確保した予算をどこに使うかです。予算を使って広告をしても、媒体などを間違えてしまうとなかなか結果につながりません。

予算に上限がある以上は、できれば費用対効果に優れた集客ツールに予算を配分したいというのが人情ですよね。そこで、今回は広告費の適切な配分方法について考えてみたいと思います。

 

限られた広告費をどこに配分するべきか〜各ツールの特徴

広告費を賢く使うためには、まず各集客ツール・媒体の特徴を押さえることが重要です。

 

いわゆるWebを使った集客ツール

現在注目されつつあるのが、Webを使った集客です。特に、弁護士ドットコムのような弁護士ポータルサイトについては、すでに使っている先生も多いのではないでしょうか。

 

弁護士ポータルサイト

弁護士のWeb集客といえば定番中の定番ともいえるのが、弁護士ポータルサイトです。実際「弁護士ポータルサイト経由で受任する機会が多い」という先生もおられると思います。

ただし弁護士ポータルサイトを使った集客には注意点もあります。

1つ目の注意点は、相談者が複数の法律事務所で法律相談をしているパターンが多いことです。いわゆる「相見積もり」に近い状態になるため、法律相談の数に対して受任率が低い、単価も安くなりやすいといった傾向があります。

2つ目の注意点は弁護士ポータルサイトには当たり外れがあるということです。特に、有名どころ以外のサイトを利用するときには注意が必要といえるでしょう。

3つ目の注意点は他者依存になってしまうことです。弁護士ポータルサイトに頼りすぎてしまうと、そのサイトに万が一のことが起こったときに集客の手段を失ってしまいます。

これらの注意点を踏まえると、弁護士ドットコムのような大手サイトを活用しつつ、他の集客ツールも用意しておくのがベターといえるでしょう。

Webサイト

自分でWebサイトを用意し、集客を行う方法も考えられます。そもそも現在のユーザーはインターネットの検索で物事を調べる傾向があり、特に法律トラブルのような「お悩み解決」系のトピックスについてはその傾向が顕著です。そして検索結果で1ページ目に表示されたWebページ・コンテンツはよく読まれます。

したがって、検索エンジンで検索した場合に自分のサイトを上位表示させる、というのはWebを使った集客では非常に有効な手法といえます。

自分のサイトを上位表示させる手段としては、リスティング広告とSEOがあります。特にリスティング広告は運用費こそかかるものの、検索結果のトップに表示される広告欄にサイトが掲載されますので比較的即効性が期待できます。Webサイトを使って集客をするのであれば、最初はリスティング広告の運用費に広告費を優先的に配分するべきといえるでしょう。

SNS

FacebookやTwitter、InstagramといったSNSに広告やコンテンツを出して集客を目指す方法です。「ある特定のターゲットに特化したサービスを展開しており、そのターゲットがメインで使っているSNSも判明している」といった特殊な条件がそろっている場合には検討する価値のある方法かもしれません。

MEO

Google マップを活用し、集客を図る方法です。もっとも、きちんと事務所のホームページを作って運用していれば、自然とMEO対策もできてしまいます。また法律事務所の場合は「信頼感重視」のサービス業である以上、ユーザーはGoogle マップの情報というよりも、個別のホームページを見てから法律相談するかどうかを決める傾向が強いです。したがって特に費用をかけてまで、MEOを行う必要はないといえるでしょう。

 

オフラインの集客ツール

ここまでWeb集客のツールを紹介してきましたが、もちろんオフラインで使える集客ツールもあります。

新聞折り込み広告

地域に根ざして活動する、いわゆる「街弁」の先生であれば、新聞折り込み広告を活用する方法もあります。相続セミナーなど地域住人を対象としたイベントを開催する際には特に有効です。

その他

他にもラジオやテレビ、駅看板といった方法も考えられます。これらの方法の特徴はリーチできる顧客の数が多いことです。その代わり、本来のターゲットとはかけ離れた層にもアプローチしてしまうことになるため、費用対効果という面では他のツールに劣る可能性もあります。

 

ウィズコロナの今はWebの活用がポイントに

ここまで広告費の使い道について考えるべく、各集客ツールの特性について見てきました。どの方法にもメリットがありますが、現在のコロナ禍にあってはWebを使った集客ツールの重要性が増しているといえそうです。

実際現在弊社でお付き合いのある先生方からも、Web経由での受任が増えているという話を伺っています。少なくとも非対面型の営業活動が求められる現状では、Webを使った集客に注力する必要性は高いと考えられます。

したがって、まずは弁護士ポータルサイトおよび自前のWebサイトを使った集客(特にリスティング広告)に優先的に予算を配分するべきといえるでしょう。

それでは、とりあえず弁護士ポータルサイトや自前のWebサイトに広告費をつぎ込むとして、どこにどれだけ使うのがベストなのでしょうか。次回は具体例も交えつつ、現状での最適解を検討してみたいと思います。

 

具体例で考える広告戦略〜もしも、これから1人事務所で独立することになったら

前回は各集客ツールの特性を紹介しつつ、特にこのコロナ禍にあっては、Webを使った集客手段――Webサイトの運用や弁護士ポータルサイトを通じた集客に注力する必要があるという話をしてきました。

もっともWebを活用した集客は比較的効果が見えやすいとはいえ、実際に使える予算には限りがあります。優先順位をつけ、適切に予算を割り振らなければなりません。

それでは具体的に、限られた予算をどこにどうかけるべきなのでしょうか。「これから1人で事務所を立ち上げて独立する」という想定で考えてみようと思います。

 

これから独立するとしたら

これから独立開業を考える場合、事務所の経営を軌道に乗せるためにも広告を活用して新規開拓を進めていく必要があります。

比較的広告費の安いWebをメインの集客手段として活用するとして、どこに、どれだけ予算をかけるべきか。「売上の10%程度」を広告費にあてるという前提で考えてみましょう。

仮に1カ月あたりの売上が100万円とすると、使える予算は10万円です。

 

1カ月あたりの予算は10万円!まずはどこに使う?

1カ月あたり10万円の広告予算を確保したとして、どこに優先的に配分するか。これはその先生の状況にもよるのですが、比較的失敗しにくいのは弁護士ポータルサイト(弁護士ドットコム)とリスティング広告に予算を割り振る方法だと思います。

 

弁護士ポータルサイト

まず、弁護士ポータルサイトへの掲載はマストです。特に最大手である弁護士ドットコムは利用者数も多い上に掲載費も比較的割安ですので、広告予算の使いみちとしては最優先で考えるべきといえます。

弁護士ドットコムの掲載費は1分野で2万円、3分野で3万円(2021年2月末日現在)ということですので、まとめて掲載してもらった方が明らかにお得ですね。ということで、弁護士ドットコムに、まず3万円(3分野分の掲載費)を割り振ります。

 

事務所Webサイト・ブログ

さて、ここで残りの予算は7万円です。この7万円を、今度は事務所のWebサイトやブログの運用費につぎ込みます。

Webサイト経由での受任を実現するために重要なのは、とにかく検索結果で自分のサイトを上位表示させることです。

「検索結果上位を狙うための施策」というと真っ先にSEOを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、SEOは効果が出るまでに時間がかかります。

SEOで上位表示させるためのコンテンツ作りを行いつつ、まずはリスティング広告を使って上位表示させてしまう方が最終的な結果につながりやすいです。特に、サイトやブログの運用を始めた当初は、リスティング広告の運用費に広告費を優先的にかけるべきといえます。

1クリックあたりの広告費が500円として、30クリックあたり1件の確率で受任できたとしたら、受任1件あたりに必要な広告費は15,000円です。受任した事件の金額にもよりますが、費用対効果を考えても悪い結果ではないのではないでしょうか。

ということで、残りの7万円については、少なくとも開業当初の段階ではリスティング広告の運用費に回します。

 

Webによる集客が軌道に乗った後は?

リスティング広告を運用しながらサイトコンテンツを充実させていくと、半年〜1年後にはSEOの効果が出始めます。具体的には、検索結果で自然に上位表示されるようになってくるということです。この段階になれば、リスティング広告の予算を減らしても集客が実現できるようになってきます。その分余った予算は他の弁護士ポータルサイトへの掲載料や外注ライターへの外注費などにあてるとよいでしょう。あるいは「売上はもう十分、事務所を拡大する予定もない」という場合は広告費そのものを減らすことも考えられます。

Webによる集客を軌道に乗せるまでのプロセスには一定のセオリーがありますが、一度軌道に乗ってしまった後については特に決まりはありません。各事務所の状況および方針に合わせて、適切に予算を使っていくことが大切です。そして、それこそが広告の運用で失敗しないための最大のコツといえるでしょう。

集客についてお考えは、まずご相談ください