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専門サイトを使ったネット集客は現在、弁護士業界にとっても魅力的な営業ツールとなっています。このコラムをお読みの先生方の中にも、「すでに実践している」、もしくは「今後始めようと思っている」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
専門サイトは扱う分野ごとに特徴があるため、それを押さえた上でサイト設計および運用を行うのが失敗しないコツです。
今回は数ある専門サイトの中でも、人気の相続サイトについてお話しします。
相続サイトはその名の通り、相続に関する情報を集めた専門サイトのことです。相続の悩みを持つ人を検索エンジン経由でサイトに呼び込み、最終的な相談や受任につなげます。
ところで「相続サイトを使った集客がおすすめですよ」という話をすると、「ネットは紹介に比べると、受任単価の安い事件が多くなってしまうのでは?」という疑問を持たれる先生も多いようです。
確かに、紹介のほうが1件あたりの受任単価が高くなりやすいのは事実です。ただネット経由でも、数千万円規模の相続事件(遺産分割など)の依頼がまったく来ないわけではありません。そのため年間を通してみると、ネットを主力に集客した場合でも平均受任単価は高めのラインで落ち着く傾向があります。ネットだから受任単価が安い、というのは必ずしも当てはまらないのです。
先ほど「専門サイトで集客をするためには、まず扱う分野の特徴を押さえることが大切だ」という話をしました。相続分野については、次のような特徴があります。
専門サイトを使ったコンテンツマーケティングでは「読者が知りたい情報」の発信を通じて読者を自サイトに誘導し、最終的な問い合わせ・受任につなげていくのが基本です。
ですから、見込み客のニーズをまず把握し、それに応えるコンテンツを用意する必要があります。
相続分野の場合、交通事故や離婚に比べると、顧客のニーズが細分化されているといわれています。一口に「相続問題」といっても、①遺産分割、②遺留分侵害額請求、③相続放棄、④遺言・生前対策の大きな分類があり、さらにそれぞれの分野が細かく枝分かれしていきます。
実際にコンテンツを用意する場合は、これらを念頭においてコンテンツの中身を設計していく必要があります。
相続の場合、他士業と競合する分野があることも特徴といえます。相続放棄や遺言・生前対策については税理士(特に税務関連)、司法書士などが進出しているケースも多く、1件あたりの報酬も低めのラインに落ち着く傾向があります。
逆に、遺産分割や遺留分侵害額請求のような交渉や訴訟・調停が絡む場合――いわゆる「モメそうな」事件は弁護士の独壇場です。これらの事件に関しては、1件あたりの着手金・報酬金も高くなります。
案件ごとの単価にバラツキがあるのも特徴です。相続事件の受任単価は、相続財産の金額と依頼内容によって左右されます。遺言の作成や相続財産調査のように1件あたりの単価の低い事件が続く可能性がありますが、一方で大きな事件にめぐりあえる可能性も少なからずあります。これまでお手伝いしてきた先生方に話を伺ったところ、年に1〜2件は大きな金額を扱う事件があるとのこと。年間を通しての受任単価は、1件あたり100万円程度に落ち着くケースが多いようです。最終的には、離婚事件に比べても平均受任単価が高くなりやすい分野といえると思います。
「紹介に比べると、ネット経由での受任単価は落ちるのでは?」という誤解をもたれがちな相続分野ですが、不思議と最終的な売り上げは安定する傾向があります。実際、相続サイトを事務所経営の柱にされている先生もいらっしゃいます。
ただ相続サイトの運用では注意するべきポイントがいくつかあるため、実はすべての法律事務所におすすめできるわけではありません。
先生方にも人気の相続分野ですが、残念ながら相続サイトを使った集客はすべての法律事務所におすすめできるわけではありません。
実際に相続サイトを使った集客を成功させるためには、いくつかクリアしなければハードルがあるからです。
相続サイトを使った集客を成功させるためには、①事務所の資金力、②事務所所在地の人口規模という2つの大きなハードルをクリアする必要があります。
この2つの条件がそろわない場合は、「サイトを作ったのに、なかなか売り上げにつながらない」「経営が安定しない」という結果になる可能性も(残念ながら)なくはありません。
相続サイトで集客するためには資金面の体力が必要です。
というのも、実際の売上につながるまで、他の分野に比べても時間がかかる傾向があるからです。相続の場合、事件の内容によって単価がバラバラということもあり、売上が安定するまで時間がかかります。
年間を通して見ると1件あたりの受任単価は100万円程度で落ち着く傾向がありますが、それは一部の大きな事件が平均受任単価を押し上げているためです。専門サイトを開設しても、数千万円規模の事件が来るまでは思ったような売上は上がりにくいかもしれません。
さらに相続の場合、事件の内容によっては解決までに年単位で時間がかかります。高単価の事件にめぐりあえたとしても、受任から実際に売上が立つまでのスパンが長いのです。
上記の理由から、相続サイトを使って集客する場合、資金面で余裕がないと軌道に乗せるまでの経営がキツくなる可能性があります。
したがって「顧問先がある」「すでに集客に成功している分野がある」など、すでに一定の収入を確保している先生に向いているジャンルの専門サイトといえるでしょう。
逆に、「独立したばかりで顧問先もない」など売上を早期に安定させる必要に駆られている場合は、比較的短期間で結果が出やすい離婚や刑事事件、債務整理といった分野で専門サイトを作ることをおすすめしています。
相続サイトでの集客は、実は事務所の立地にも影響されます。個人向け事件の中で、相続の占める割合は実は意外と多くありません(弁護士ドットコムのデータによると、7%程度)。
したがって最低でも人口50~100万規模の都市でないと、利用者側のニーズがそこまで期待できないのです。
一方、東京・大阪はすでに法律事務所間の競争が激化しており、新規参入はややハードルが高くなります(具体的にはリスティング広告のクリック単価が高くなるため、必要な広告費が増えます)。
ある程度の規模(人口50万人以上)の地方都市であればライバルも東京・大阪ほど多くなく、それなりのニーズも期待できるので狙い目です。
最後に、相続サイト活用の成功例として、弊社が相続サイトの立ち上げをお手伝いした京都市内のA法律事務所のケースをご紹介します。
代表弁護士であるA先生は2年前、独立まもない時期に相続サイトを立ち上げられました。A先生の場合、もともとご紹介がある程度期待でき、かつ以前の勤務先の関係で顧問先を数件抱えた状態での独立したこともあり、比較的毎月の売上が安定している状態でした。また事務所の所在地が京都市内ということで、立地面での条件もクリアされています。相続サイトの運用には適した事例だったといえます。
サイトの立ち上げから2年が経過し、検索結果では安定して上位を維持。その甲斐あって、現在では1ヶ月に2〜3件ペースで相続分野の受任をされています。現在では売り上げの大半は相続分野によるものだそうです。
いくつかクリアしなければならないハードルはあるものの、条件がそろっている先生にとっては相続サイトを使った集客はまさに狙い目です。資金面での体力が求められる時点でライバルも減るため、よほどの弁護士過剰地域でなければ集客に成功しやすい環境が整っているといえます。「これから相続分野で案件を獲得したい」という先生方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
共同代表の川原と共に合同会社レップリーガルを立ち上げる。サイト制作のマーケッターとしてサイト開設のディレクション、コンテンツ作成に携わる。ターゲットが思わず読みたくなる、集客に繋がるコンテンツ作りのプロとして、法律事務所のサイトを250以上構築し、常時20個以上運用・サポートを行っております。